【書評】『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』
久しぶりの更新となります。
Facebookにおいてはちょくちょく更新してはいたのですが。。。
今後はそのFacebookの投稿の中から選んで、こちらにも投稿していきたいと思います。
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並行して数冊の本を読み進める中、一気に駆け抜けるように読み終えたのが、タイトルにある『起業の天才!』(大西康之著/東洋経済新報社)です。
いやぁ、映画を観るように面白く、一気に読み終わりました。
1月から参加させていただいている、児島慎一さんの東洋思想セミナーの中でも、少し登場した本になります。
児島さんのお話によれば、中国の歴史書「資治通鑑」(しじつがん)においては、
人は、徳も才も併せ持つ「聖人」、徳が才に勝る「君子」、才が徳に勝る「小人」、徳も才も持たない「愚人」の四つに分けられ、「組織を危うくするのは小人である」と説いているそうです。
この「資治通鑑」を常々参照していたのが、名経営者と名高いあの稲盛和夫。
稲盛氏は、通信自由化に伴う第二電電設立の際、江副氏率いるリクルートを設立メンバーからなぜか外してしまうのです。
おそらくは、才気煥発な江副を、稲盛は小人と見たのではないか。それがこの「起業の天才!」著者の大西氏の見立てです。
セミナーで紹介されたこのエピソードに強く惹かれ、早速図書館で借りて読みました。
何より強烈なのが、江副浩正という人間の、目をみはるばかりの先見性。
Googleやスティーブ・ジョブズが登場する遥か昔、重厚長大型のモノづくり企業全盛の時代に、情報が主役になる世の中を見通していたのは、驚嘆するほかありません。
しかし、その江副氏の姿にどうしても重なるのが、ホリエモンこと堀江貴文氏。
「法に触れさえしなければどんどんなんでもやってみろ」という祖父の教え通り、なりふり構わず突き進んだ結果、日本の既成勢力を敵に回し、いつしか東京地検特捜部の手に落ちるという流れは、強い既視感を覚えるものでした。
堀江氏、江副氏のどちらも、その摘発の法的根拠があやふやで怪しいところまで似ています。
事実や論理ではなく、情緒で動く世論。それを煽るマスメディア。
その世論に追随して強権を振りかざす検察。
今の今まで変わらない日本という国の構造、特徴を、まざまざと見せつけられます。
「開拓の国アメリカの根底には、ならず者への畏敬がある。従順なサラリーマンからはイノベーションが生まれないことを知っているからだ」(P339より)
スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのような「ならず者」がいなければ、iPhoneやテスラのようなイノベーションは生まれなかった。
日本はこうした「ならず者」を許容する土壌が育っていないし、受け入れられることもない。そのことを痛感させられる内容でした。
一読をお勧めします。
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