宗谷丘陵の鹿の群れ 〜2020年夏の北海道旅行より
2020年夏に訪れた北海道旅行で、特に印象に残ったお話を。
宗谷岬の南に広がる、宗谷丘陵での出来事。
(宗谷丘陵というのは、この辺り↓)
夜明け前のまだ真っ暗な時間。
宿泊していた稚内市内のホテルを抜け、一路宗谷岬方面へ。
まだ薄暗い海沿いの一本道を疾走。車はほとんどおらずスムーズな道のり。
昼間なら、海の向こうに、美しい円錐形の利尻島が拝めるはず。
そこから「宗谷公園」という大きな看板を目印に右折。
宗谷丘陵の中へと、細い坂道を登っていきました。車同士が行き違うのは厳しいぐらいの道幅。
入ると、いきなり「シェルロード」と呼ばれる、ホタテの貝殻を敷き詰めた全長2.8kmの砂利道。
でも貝殻は細かく砕かれて、走りやすい。
まさに、その時。
丘陵の上に真っ直ぐ伸びる道をバイクでゆっくり進んでいくと、前方に何やら物影が。
何か、目が合ったような気もして。
ちょっと恐怖感もありつつも、ゆっくりゆっくり前に進むと、何とエゾシカの群れが。。。
エゾシカたちが、シェルロードや、周りの草原にたむろしていて、じっとこちらを警戒して見つめていた。
その数、何と20頭以上。
あまりの多さ、そして他に人っこ一人いない状況にビビりながらも、そのままシカの群れに突っ込んでいく。
というより、道を塞がれてい他ので、進むか退くしかない。
すると、いかにも面倒くさそうに、じわじわと両脇に広がる草原へと、シカたちは散っていく。
かといって遠くには逃げず、道の両脇から、ゆっくりバイクで進む私をじーっと見つめている。
何とも緊張感のあるひと時。
この時の写真は一枚も撮れず。というか、撮れるような雰囲気ではなかったな。
そのあとも、広大な宗谷丘陵は果てしなく続く。
しかし、夜明け前の薄暗い時間ということもあり、誰一人として、人間がいない。
巨大な風力発電の風車がグイングインとまわり、放牧された牛がたまにいたり、
遠くから警戒しながら見つめるエゾシカ数頭の群れがいたり。
でも、人間の姿だけはどこにも見当たらない。自分以外は。
人間ではなく、動物が支配する世界に迷い込んだような。そんな錯覚すら覚える。
これぞまさしく北海道の大自然。それをたった一人で満喫できた、最高に贅沢な時間だった。
白い貝殻でできたシェルロードも美しいものだった。
こうした道が2.8km続く。
ようやく引き揚げようとしていたころ、遠くから、この宗谷丘陵の主のような、
立派なツノを生やした二頭のエゾシカがこちらを見つめていた。
レンズを変えてたら逃げられそうだったので、標準レンズのまま撮影。
望遠で撮れていたらよかったのだけど。
道北、稚内に行く方は、宗谷岬だけでなく、宗谷丘陵も訪れてはいかがだろうか。
(おわり)
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